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2021年度中学入試 合格者・塾の先生インタビュー “こだわりの塾”から難関中に合格! 「塾選びのポイント」③
2021.03.25
🌸合格者インタビュー🌸 Y・Hさん 女子学院中学校 合格 自分がやるべきことを意識することでモチベーションを継続できました ■合格までの軌跡 「自由で楽しそう」。小2の3月、明倫館の体験授業に参加した時の印象です。少人数授業で質問もしやすく、休み時間も学校での出来事や友だちのことなど、先生がこちらの話をよく聞いてくださったので、4年間楽しく通うことができました。また志望校が4年の頃から決まっていたので、早くから志望校に合わせた対策ができたのもよかったと思います。6年では『合格ノート』で、「自分が今、何をやらなければならないか」を意識しながら勉強。返ってくる先生のコメントに励まされ、集中できる塾の自習スペースも利用しながら、モチベーションを維持しつつ受験勉強に取り組むことができました。受験当日、Suicaを落として少し慌てましたが、むしろこのハプニングで肝が据わり、全力を出せたように思います。「受験を楽しむこと」を教えてくれた塾の先生に感謝しています。 ■後輩のみなさんへメッセージをお願いします。 勉強はやればやっただけ力になります。受験直前、不安を感じることもあると思いますが、最後まで自然体で受験と向き合ってください。自分の力を出し切れば、きっといい結果につながるはず。応援しています。 中学受験 明倫館 塾長 千住 貴紀 先生 学力とともに自己肯定感を上げ、中学受験を楽しむ心を育てたい 畑さんは入塾当時から利発なお子さんでした。ですから塾の方針でもある「勉強は楽しい」ことが実感できるよう、また勉強以外でも、塾が何でも相談できる場になるよう、密にコミュニケーションを取りながら指導しました。ただ、6年の判定テストでは、算数の点数が思うように伸びなかったのです。原因は単純な計算ミスだったり、問題文をきちんと読んでいなかったりといった注意力不足でした。そこで過去問などの対策を行う一方、「ミスは悪いことじゃないよ」と声をかけました。12月頃のことですが、納得した様子に合格を確信したのを覚えています。 学力は学習量に比例しますが、成績に結びつかないと不安を感じ、やる気をなくすものです。明倫館では子どもの自己肯定感を上げ、中学受験を楽しむ心を大切にしています。生徒には受験で培った力を礎に、これからの日々を楽しんでほしいですね。 ■取材協力:中学受験 明倫館 朝日小学生新聞2021年3月18日掲載
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2021年度中学入試 合格者・塾の先生インタビュー “こだわりの塾”から難関中に合格! 「塾選びのポイント」②
2021.03.25
🌸合格者インタビュー🌸 S・Fさん 豊島岡女子学園中学校 合格 居⼼地のよいMusashiで、志望校への合格をいただけました ■合格までの軌跡 2歳上の兄の影響で1年生から大手塾に入り、兄の転塾と共に私も3年生からMusashiに移りました。生徒の人数が少なく、集団なのに、まるで個別指導のような距離感があり、みんな休み時間はタメ⼝で話すけれど、授業になると真剣になる不思議な空間で、ずっと楽しく塾に通えました。Musashiは先生との距離の近さが好きです。理数系が苦手でしたが、低学年のときから、個別のフォローアップが充実していて力をつけることができました。志望校の問題をできるまで教えてくれたり、授業中にできなかった問題をその時間に詳しく説明してもらえたりもしました。それが6年生まで続いたのです。また、まじめで努力家な塾の友人の姿に刺激を受け、私もがんばらなくてはとやる気を出すことができました。将来は国際的な仕事に就きたいので、中学では英語をしっかり学びたいと思っています。 ■後輩のみなさんへメッセージをお願いします。 勉強は自分の気持ち次第でいくらでもできますが、それをサポートしてくれる環境がMusashiにはあります。実は暗記が苦手で社会も最初は下位でしたが、5年⽣のときの先⽣オリジナルプリントのおかげで成績を伸ばせました。新しいことをどんどん学べるMusashiは本当に楽しく居心地のいい場所です。 進学塾Musashi 中学受験科 責任者 櫻田 征久 先生 保護者との情報共有で子どもたちに最適なサポートを 文系はよくできる福本さんの場合、後半のほとんどを理科と算数の追い込みに費やしました。受験が近づくにつれ、気分の「波」が⼤きくなりましたが、その時々の気持ちを受け止めて、勉強に意識が向かうよう心を配りました。福本さんの勉強の進捗や気持ちについて、本人の話に耳を傾けながら、親御さんとも面談やネットでのやりとりなどで情報を共有するよう努め、家庭学習と塾のバランスを考えた提案などをさせてもらいました。福本さんに限らず、受験生はナーバスになりがちです。なるべくプレッシャーをかけないような関わりをしています。 Musashiでは、志望校についてアドバイスはしますが、誘導はしません。皆が同じ学校を目指した方が指導者としては教えやすいと思いますが、私たちはそれぞれの子どもたちの希望に合わせた対応ができる人数しか受け入れないようにし、⼦どもを置き去りにした、営業主義に⾛らないように考えています。Musashiに入るからには、とことん私たちに相談してください。 ■取材協力:進学塾Musashi 朝日小学生新聞2021年3月18日掲載
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2021年度中学入試 合格者・塾の先生インタビュー “こだわりの塾”から難関中に合格! 「塾選びのポイント」①
2021.03.24
🌸合格者インタビュー🌸 鹿野 乙妃さん 女子学院中学校 合格 質問と復習を繰り返しスロースタートを挽回 ■合格までの軌跡 姉と兄が中学受験して、私立中学に通う様子が楽しそうだったので私も受験してみたいと思い、5年生の1月に秀峰進学会に入会しました。最初は理解できないことが多く、復習や解き直しに時間がかかりましたが、わかるまで質問できたことで、夏休み明けにはクラスのみんなと同じように理解できるようになりました。また、理解できなかったことを「苦手ノート」にまとめ、復習を繰り返すうちに成績も上がり、11月の四谷大塚の合判テストでSコースに入ることができました。その頃には、復習にかける時間が減り、「速く正確に」解く練習が中心になりました。「過去問添削指導」が始まると、過去問を先生に添削してもらい、いろいろアドバイスを受けました。そして、「過去問ノート」を作り、間違えた問題をできるようになるまで解き直しました。間違えたことで、何回も解き直したことがよかったのだと思います。 【他合格校】豊島岡女子学園中・市川中 【進学校】栄東中(東大) ■後輩のみなさんへメッセージをお願いします。 大事なことは、「授業の復習」と「基本問題」や「過去問」を繰り返すことだと思います。私の場合は「苦手ノート」や「過去問ノート」を作り、わからない問題をそのままにしないで、質問や解き直しで、できるようになるまでやりました。できることをしっかりやれば結果が出せるようになると思います。みなさんもがんばってください。 中学受験専門塾 秀峰進学会 代表 鏑流馬 健一郎 先生 悔いのない中学受験!「個」を大切にした指導!! 鹿野さんはとても明るく熱心でした。スタートが遅かったので、最初は知識不足からわからないことが多かったと思います。それをそのままにせず、理解できるまで繰り返し質問してくれたので、納得できるまで付き合いました。ただ、勉強は自立させることが大切です。講師が一方的に教え込んでも、子どもたちはわかったつもりになるだけで実際に解けるかは別です。鹿野さんの場合は、復習を徹底することで知識を身につけ、基本を理解し、正解にたどり着けるようになったと思います。基本の理解が進んだ後は、方向性を示すだけにとどめ、自分の力で考えて学び進めるように対応しました。ただし、定着しているかのチェックをしてあげることは大切です。その繰り返しが結果を出すことにつながったと思います。鹿野家とは姉兄を含め8年のお付き合いになり、本当にご苦労様でした。 35年間の中学受験指導で、たくさんの子どもたちや保護者の方を見てきましたが、それぞれの子どもの個性に合った対応や進学先の選択はとても大切です。「悔いのない中学受験」にしてもらうこと、子どもの「行きたい中学」、保護者の「行かせたい中学」を第一に考えること、それが「秀峰進学会」の指導方針です。 ■取材協力:中学受験専門塾 秀峰進学会 朝日小学生新聞 2021年3月18日掲載
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2021年度中学入試 合格者・保護者インタビュー “こだわりの塾”から難関中に合格! 「合格親子の軌跡」②
2021.03.02
✿合格者インタビュー✿ 本田 弘徽くん 麻布中学校 合格 苦手だった国語と社会が本番での算数の不調をカバー ■合格までの軌跡 最初は大手塾に通っていましたが、国語と社会が伸び悩んでいました。Musashiに通っている友人からアットホームで手厚いサポートがあることを聞き転塾したところ、国語と社会の記述問題がよくできるように。というのも、「まずプロットを立てて方向性を考えてから書くように」と記述式のテクニックを細かく指導してもらえたからです。12⽉の模試では偏差値70まで伸びた算数ですが、本番では不調でした。しかし、国語と社会でカバーできるほどになっていました。家ではさぼって勉強できないため、授業後も休日も自習室に行きましたが、授業以外でも先生が見てくれ、質問もしやすい環境でした。直前期になると志望校別に一人ひとり異なる学習計画を考えフォローしてくれたことがMusashiのすごいところです。⿇布中模試で合格率がふるわなかった時にも、メンタル面で支えてもらえました。直前は国・社の指導を多めにしてもらいました。 ■後輩のみなさんへメッセージをお願いします。 最初は中学受験をしたくありませんでしたが、Musashiに通うようになって深く知識が⾝につき、興味の対象が増えました。中高一貫で学んだ方が充実した中学生活を送れる点でもお勧めします。 弘徽くんのお母様 本田 美紀子さん 大手の入塾試験に失敗した子が受験した中学にすべて合格 実は大手塾の入塾テストに失敗し、個別指導塾を経た入塾テストでようやく合格しました。ところが国語と社会が伸びず、模擬テスト後の指導も少ないことで悩んでいた時に、Musashiを紹介されました。小さな塾でアットホーム、理解できるまで帰さない、休んでもフォローがある点など息子に合っていると思いました。例えば、授業後の⿇布に特化した算数のチェックテストでできなかったところは、本人に考えさせながら、わかるまで指導してもらえるため、成績があがっていきました。負けず嫌いが過ぎて、テスト結果にひどく落ち込んだときに、メールで相談すると、すぐに連絡があり、メンタル面のフォローもしっかりしてもらえ、家で落ち込んでも、塾でやる気を養って帰ってくるというサイクルに。スタート時は大手塾に入れなかった子が、最後にはすべての受験校に合格。子どもの成長には個人差があるので、成績が芳しくない時も、長い目で見て信じて待つことが大事です。 取材協力:進学塾Musashi 朝日小学生新聞2021年2月25日掲載
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2021年度中学入試 合格者・保護者インタビュー “こだわりの塾”から難関中に合格! 「合格親子の軌跡」①
2021.03.02
✿合格者インタビュー✿ Y・Aさん 都立富士高等学校附属中学校 合格 間違った問題を何度も解くことで弱点を克服できた ■合格までの軌跡 創研学院には小4から通いました。塾の先生は親しみやすい話し方で内容も面白く、授業が待ち遠しかったほどです。当時はピアノ教室にも通っており、最初は思うように塾の宿題をこなせなかったのですが、先生が宿題の分量を調整してくださったので、無理なく両立できました。自習室もよく利用しました。先生が常駐しているため、わからないことがあればすぐに相談できる環境がありがたかったです。塾での勉強を通して学んだのが、「直し」の大切さです。受験直前には、間違った箇所を切り抜いて作ったノートを何度も解き直しましたが、それが弱点克服につながりました。また、学校以外で毎日勉強する習慣が身についたことも、これから役立つと思います。中学でも勉強と部活を両立させて頑張ります! ■後輩のみなさんへメッセージをお願いします。 解けない問題こそ放置せずに、解けるようにすることが大切です。また振り返るとその時々の先生のアドバイスが、確実に力を伸ばしてくれたと感じています。努力した自分を信じ、先生を信じて、受験を乗り越えてください。 Yさんのお母様 S・Aさん 丁寧で娘に合う指導をしていただける入塾時の印象は間違っていませんでした 受験準備は4年生から本格的に始めました。入塾に際していくつかの塾の説明を聞き、一人ひとりの生徒と向き合い娘に寄り添って指導をしていただけると最も感じたのが創研学院です。実際、先生方も常にこちらの話を聞き、適切なアドバイスをしてくださったので、安心してお任せできました。コロナ禍での受験に不安もありましたが、塾でいち早くオンライン授業が始まり、ホッとしたのを覚えています。それでも受験期には塾にいる時間が限られたので、塾の先生と相談しながら娘のモチベーションを下げないような雰囲気作りや声かけを心がけました。塾での学びを通して、娘は体力面・精神面が強くなったと感じています。またやるべきことを順序よくこなすといった自己管理ができるようになったのも大きな収穫です。中学では自分のやりたいことを見つけ、それに向き合える力を付けて欲しいと思っています。 ■取材協力:創研学院 朝日小学生新聞2021年2月25日掲載
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新グローバル時代 次代の価値を創造する力 ― 必要なのは「自調自考」 自ら調べ、自ら考えよう
2021.02.06
必要なのは「自調自考」 自ら調べ、自ら考えよう 人口減少に直面する日本社会。国内だけを見ていては衰退は免れない。そこで浮上する一つの選択肢は世界に雄飛することだ。新たなグローバル時代に求められる力について、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校および渋谷中学高等学校の田村哲夫校長、SAPIX YOZEMI GROUPの髙宮敏郎共同代表に聞いた。 渋谷教育学園幕張中学校・高等学校校長 渋谷教育学園渋谷中学高等学校校長 田村 哲夫 氏 ―渋谷教育学園といえば、幕張校にも渋谷校にも帰国生が多く在籍し、グローバル教育に注力していることで知られている。 田村 中曽根康弘内閣時代にあった臨時教育審議会に参画した時、委員の何人かが素晴らしい発言をしていた。その人となりを調べたところ、彼らの共通項は海外で生まれ育ったことだった。 このことを突き詰めた結果、日本の教育をより良いものにするには相対化が必要ではないかと思うに至った。日本の文化や教育を絶対化せずに再検討してこそ、より良いものにできるはずだと。 最近の言葉を借りれば「異文化アジリティ」だ。私はこれを「異なる文化をこだわりなく取り入れることができる態度」と解釈している。さらに気づいたのが、日本の教育の現場で異文化アジリティを実践してくれるのは帰国生であるということだった。 ―それ以来、帰国生を積極的に受け入れるようになったと。 田村 異なる文化の下で育ってきた帰国生はわが学園の宝物だ。実際、帰国生は後輩たちの良きロールモデルになっている。 グローバルに活躍している典型としては、幕張高を卒業、米国のブリガムヤング大学を経て日本マイクロソフトの社長を務め、現在は米国本社のバイスプレジデントである平野拓也くん、渋谷高からハーバード大学を経て、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏のビジネスパートナーとなっている内山慧人くんの2人を挙げておきたい。 帰国生ではないが、今年は幕張高からミネルバ大学に進学する生徒もいる。2012年創立の若い大学であるにもかかわらず、入学するのはハーバード大学よりも難しいといわれている。これは渋谷教育学園で6年間学んだからこその快挙だと受け止めている。 グローバル化を育む「校長講話」 ―幕張高と渋谷高に共通すると思うが、どんなカリキュラムが生徒のグローバル化を育んでいるのだろうか。 田村 私が両校で全校生徒を対象に講義している「校長講話」がその一つ。これは学年ごとにテーマを設け①生徒一人ひとりが自立した個人で、代わりがいない存在であること②自立した個人は普遍的な意味で人類社会の一員であること―という2つの大切な真理に気付かせることを狙いとしている。 例えば、中1では「人間関係」が、中2では「自我の目覚め」がテーマだ。高3は「自分探しの旅立ちへ」と銘打ち、中高生活の集大成とする。最後に「基本的人権」を取り上げ、この考え方がどう生まれて、どう発展し、どんな意味があるかを、グローバリズムとの関わりで説明する。 テキストにしているのは梅棹忠夫、ソクラテス、ガリレオらの著作だ。それらのエッセンスを引用して展開することから、いわばリベラル・アーツの講義と理解してもらうといいだろう。 ―講義を受けた後には論文を書くと聞いている。 田村 「自調自考論文」をまとめてもらう。その大きな特徴は、テーマをこちらから与えるのではなく、あくまで生徒本人が自分で決め、自らの手で調べ、自らの頭で考えて書くことだ。 昨年のノーベル物理学賞はブラックホールの研究に与えられたが、3人の受賞者のうちの一人はドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所の所長を務めた人物だ。実は同研究所で一緒に研究を進めた経験を持つ幕張高OBがいる。そのOBは東京大学に進み、、同大学院を修了して、京都大学基礎物理学研究所在籍中にドイツに渡り、現在は京都産業大学の准教授を務めているのだが、自調自考論文のテーマがブラックホールだった。ドイツに赴任する前にあいさつに来て、「高校で面白そうと思ったテーマが自分の一生を決めた」と話していた。 今こそ実践したい「バックキャスティング」 ―自調自考は「国際人としての資質を養う」「高い倫理感を育てる」と並ぶ3つの教育目標の中で最も大切にしているそうだが。 田村 自分が主体的に行動するという経験を数多く積ませれば、決して諦めることなく、何事にも積極的に取り組める人間を育成できると信じているからだ。 自調自考にはもう一つ、「自分を」調べて考える、すなわち自己理解を深めるという意味もある。渋谷教育学園での6年間では自分自身のことを深く掘り下げてもらう。ブレることのない人生を歩もうと思ったら、やはりそれが大切になるからだ。 ―わが子に中学受験を勧めようと考えている読者にメッセージを。 田村 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、変化が激しく、かつ先を見通しにくい時代となった。こんな時代には「バックキャスティング」の思考法が求められる。現在から未来を見通すのでなく、10年後、20年後の自身のあるべき姿を想定し、それを実現するには今何をすべきかと考える方法だ。その思考法に実行力が伴えば、道はおのずと開けるだろう。 田村校長による「自調自考」の揮毫。「哲山」は雅号 渋谷教育学園幕張中学校・高等学校校長 渋谷教育学園渋谷中学高等学校校長 田村 哲夫 氏 たむら・てつお 1936年東京府生まれ。東京大学法学部卒。住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、3年間勤務した後に渋谷教育学園常任理事に就任。1970年から理事長。ユネスコ・アジア文化センター代表理事・理事長、中央教育審議会委員などを歴任。 ▶SAPIX YOZEMI GROUP共同代表 髙宮 敏郎 氏 記事はこちら ■日本経済新聞 朝刊 第二部「広告特集 中学受験特集」2021年1月29日掲載
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これからの時代を 生き抜くための学び
2021.02.06
[中高一貫校の教育効果] これからの時代を 生き抜くための学び 早稲田大学教授 濱中 淳子 氏 中高一貫校で学ぶことには、どのような意味があるのか。教育社会学に携わり、卒業生調査などを用いて教育の効果を分析する濱中淳子氏は、「若いうちに伸ばしたいと思われる能力のうち、中高一貫の進学校であれば、特に伸ばしやすいものがある」という。開成・灘といった私立6年制進学校と公立3年制進学校(高校)の卒業生調査を比較すると、私立6年制の卒業生は、自身の「与えられた課題を達成する力」「問題点や批判点を見いだす力」「知識量」について、中高時代に、より自信を高めていたことが分かる。 居心地の良い環境に身を置き、ロールモデルになり得る先輩に囲まれながら6年間を過ごすことは、かけがえのないものである。10代という貴重な時期に、「6歳の幅がある集団の中で学校行事をつくり上げる」という経験が、リーダーシップの育成に大いに役立つというデータもある。 志望校選びでは、「先生方の考え方、大事にしている校風とともに、無理なく通える立地もポイント」という。さらに「『ここでなければ』と強く思い込むのではなく、第1志望と同じくらい憧れる学校を見つけると、ご縁があったところで余裕を持って学べる」と、柔軟に考える必要性も語る。 中高一貫校に入学したなら、「その学校のカラーを生かして成長していくことが大事」と濱中氏は説く。一方で、「中高一貫校以外の選択があることも意識してほしい」と訴える。 中高一貫校は「均質」だといえる。家庭環境も、学力も、場合によっては性別も同じだ。だからこそ「『自分とは違う人』への想像力をいかに鍛えるかが重要」だという。これからは「人間ならでは」の仕事が強調され、「ダイバーシティー」がより重要になるかもしれない。 次代を生きる子どもたちに身に付けてほしいのは、「学ぶ力」と「専門」。未来は分からないのだから、どのような状況になっても学べる力が必要である。また、自分の強みである専門がなければ、一歩踏み込んだ議論もできない。 もう一つ、濱中氏が特に必要だと考えているのは「今の状況を相対化する力」。例えば、大学教育の費用負担の問題を考えてみる。日本では親が負担するのが一般的だが、世界を見てみると、本人が働いてから所得に応じて返済する国もあれば、社会が負担する国もある。それを知らないままに、勝手に「親負担」を前提にするケースが多く見られるのだ。「別の問題の立て方はないのか」を考えられる力は、もっと強調されるべきだという。 それは「自分たちで社会を変えていく力」の礎となる。相対化する力を付けるために必要なのは、「本や新聞などで多くの情報に触れ、そこからさまざまな方向へと発想する時間を持つこと」。中高時代に多様な発想に触れることが、将来の自分につながっていくのだ。 「調査データを分析していて痛感するのは、成長の仕方の多様性。中高時代では伸ばしきれなかった力を、大学時代に獲得するという人も多い」。可能性を抱える子どもたちに向け「適度に難しい目標を定め、たまに立ち止まりながら、そして自分が知らない人や世界に意識を向けながら成長していってほしい」とエールを送る。また、「子どもたちの姿を温かく忍耐強く見守ってほしい」と、保護者にもメッセージを送った。 早稲田大学教授 濱中 淳子 氏 はまなか・じゅんこ 1974年富山県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。東京大学基礎学力研究開発センター特任研究員、リクルートワークス研究所研究員、大学入試センター研究開発部教授、東京大学高大接続研究開発センター教授を経て、19年から早稲田大学教育・総合科学学術院教授。博士(教育学)。教育社会学、高等教育論を専門とし、アンケートやインタビューなど社会調査を駆使した分析を行っている。著書に『「超」進学校開成・灘の卒業生―その教育は仕事に生きるか』(ちくま書房)、『検証・学歴の効用』(勁草書房)などがある。 ■日本経済新聞 朝刊 第二部「広告特集 中学受験特集」2021年1月29日掲載
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困難に直面したときこそ 自分で考え克服する力が必要
2021.02.06
困難に直面したときこそ 自分で考え克服する力が必要 2020年は文部科学省のGIGAスクール構想に加え、新型コロナウイルス感染症による登校自粛要請によって教育の情報通信技術(ICT)化が急ピッチで進んだ。ICTはこれからの教育にどのような影響を与えるのか。急速に進むグローバル化、人工知能(AI)技術の進化など変化の激しい時代に、子どもたちはこれから何を学び、どのような力を身につけていったらよいのか。東京大学合格者数全国トップを誇る名門、開成中学校・高等学校校長の野水勉氏に聞いた。 開成中学校・高等学校 校長 野水 勉 氏 リモート授業でも教育の質 確保 首都圏が中学受験シーズンに入り、本校でも感染症防止策に万全を期して臨んでいるところです。入試時期に限らず、クラスターが出れば学年閉鎖、学校閉鎖をせざるを得ない状況ですから、学内で感染症対策を取るとともに、何かあればすぐICTの授業に切り換えられるよう態勢を整えています。 振り返ってみれば昨年は、新型コロナウイルス感染症によって教育環境が大きく変わりました。開成では柳沢幸雄前校長が3月中旬からICTのプロジェクトチームを立ち上げて準備し、また各家庭の協力もあって、4月の始業式直後からICTによる遠隔授業を行うことができました。このため1学期は休校措置を取ることなく、定期試験も夏休みも例年のスケジュール通りに実施できました。2学期以降は、対面授業に戻っていますが、教員によっては共有ドライブに課題をアップする、家庭での感染や濃厚接触観察期間などで登校できない生徒に授業ビデオを見せるなど、ICTを活用しています。 利便性が高いICTですが、限界を感じたのも事実です。登校できなかった4、5月に遠隔授業を行いましたが、オンラインの双方向授業は教室の雰囲気が多少感じられるものの、やはり生徒の緊張感は薄れます。また対面に比べ、生徒がどこまで理解しているのかわかりにくいという側面もあります。画面越しではわかったような顔をしていたけれど、対面で授業をしてみると意外に理解が進んでいないことがわかったという先生の話もあります。顔の表情を見て気づくことは多いのです。オンラインではそれがなかなか伝わりません。 しかし「オンラインだから不十分な形でも仕方がない」というものであってはいけません。通常のコンテンツ、通常の進度に最大限近い状態でできるよう努力することが必要です。 考えさせる教育を通し新しいもの生む力を 本校ではただ答えを導いたり、1対1対応で物事を見たりする教え方ではなく、さまざまな見方を獲得できる授業を行い、それぞれが個性を発揮して自分の道を切り開いていける人になることを期待して育てています。そこが通常のコンテンツであり、一番重要なところです。 各教科とも教科書とは別に教員が独自の副教材を用意して、教科書から発展させた内容の授業を行っています。例えば中3では国語の授業で伊勢物語を扱った際に、副教材として昨年発刊された髙樹のぶ子さんの著書「小説伊勢物語 業平」(日本経済新聞出版)が使われました。これを生徒に全部読ませ、後日髙樹さんを学校にお招きして特別授業をしていただきました。質問タイムでは本の内容に深く踏み込んだ質問が多数出て、髙樹さんは感激していました。 AIの進展によって、今の職業の半分がなくなるといわれています。でもAIも人間が新しく創り出した道具で、怖れるものではありません。私たちが育てたいのは、ただルーティンワークをこなす人間ではなく、新しいものや考え方を生み出していく人間です。 大切な多様性理解一度は海外で学んで そういう力をつけるためにも、若いうちに海外に出てほしいと思います。私は名古屋大学で30年近く、留学生交流プログラムの運営に携わってきました。そこで感じたのは中国、インド、韓国の留学生がどんどん増えていること。それに対して日本から海外に行く学生が圧倒的に少なく、海外大学における日本の存在感が大きく低下し、海外大学に在籍する日本人教員も少なくなっています。 ビジネスの世界も同じです。韓国や中国の安い製品、営業力のある企業が市場を勝ち取っていく一方で、世界市場での日本のビジネス力の低下を感じます。 日本の学生が海外に出ない原因の一つは英語力です。留学の受け入れ先が要求する英語力レベルが上がっており、それをクリアできている学生が少ないのです。大学で英語をしっかり頑張れば届くレベルですが、大学に入ると気が抜ける人が多い。中学・高校から英語力をボトムアップしていく必要性を強く感じます。中学・高校のうちに力をつけておけば、大学進学後、その大学の留学プログラムを使って海外に行くチャンスが広がります。 留学をすると自分がマイノリティーである環境で学ばざるを得ず、苦労していろいろな人とコミュニケーションを取る努力をしなくてはなりません。その経験が多様性の理解につながり、人間的成長につながります。海外経験のあるさまざまな経歴を持つ人が数多く育っていくことは、結果的に日本のビジネスも研究開発力も強くすると思います。 日本も世界も今、感染症拡大の危機に直面しています。感染症だけでなく、子どもたちが生きていくこれからの時代にはさまざまな困難があるでしょう。そのときどうやって困難を克服していくか、考えられる人になってほしいと思います。そのためには自分の頭で考える力をつけることが重要です。 小学生であっても、新聞などを読んで日本の動き、世界の動きを知って、自分の意見を持つ努力をしてほしいと思います。それには家庭での会話が大切です。小学生のうちなら親の聞き方次第で子どもはどんどん話しだします。子どもの個性や得意な部分を大切にして、上手に話を引き出しながら豊かな会話を重ねていただきたいと思います。 創立150周年記念事業として建設が進められてる新校舎は、オープンスペースなど生徒が自主的に 活動できる場も充実している。新しい教室で授業開始は2021年9月からの予定。 開成中学校・高等学校 校長 野水 勉 氏 のみず・つとむ 1954年福岡県生まれ。73年開成高校卒。東京大学工学部、同工学系研究科工業化学専攻修士課程を修了。動力炉・核燃料開発事業団研究員、名古屋大学工学部の助手を経て、89年工学博士号を取得。90~91年ハーバード大学医学部客員研究員。92年名古屋大学工学研究科講師、96年に同大留学生センター・短期留学部門教授に就任。同大学国際学術コンソーシアム推進室長、総長補佐、国際教育交流センター副センター長などを歴任し、20年3月定年退職。同年4月より現職。11〜17年留学生教育学会会長。 ■日本経済新聞 朝刊 第二部「広告特集 中学受験特集」2021年1月29日掲載