近年話題?! 適性検査型入試とは? ~国公立中高一貫校受験を考える~

2022.06.21

中学校選び

数年前から、国公立の中高一貫校を第1志望校にする受験生が増えてきています。

なぜ、国公立の中高一貫校に人気が集まっているでしょうか。

今回は、国公立の中高一貫校がなぜ人気なのか、そして、国公立の中高一貫校ではどのような入試が行われているのかを中心に解説していきます。

 

<目次>

1.国公立の中高一貫校が人気を集めている? ~データで見る入試の動向~

2.国公立の中高一貫校が人気なのはなぜ? ~国公立の中高一貫校が人気の理由~

3.適性検査型入試とは? ~独自の入試方法~

4.特別な対策は必要? ~適正検査型入試の対策~

5.私立でも導入が進む? ~適性検査型入試・思考力型入試~

6.まとめ

 

1.国公立の中高一貫校が人気を集めている? ~データで見る入試の動向~

中学受験と言えば、これまでは、私立の中高一貫校を受験するのが定番でした。

しかし、ここ数年で、国公立の中高一貫校が受験生から人気を集めており、受験者数が多いまま推移しています。

 

年度

募集人員

応募人員

最終応募倍率

令和4年

155

712

4.59

令和3年

155

792

5.11

令和2年

155

882

5.69

令和元年

155

1032

6.66

平成30年

155

1039

6.70

(東京都教育委員会HP

東京都立中等教育学校及び東京都立中学校入学者決定応募状況

令和4年度~平成30年度分 より筆者作成)

 

出生率が低下している中で、応募者数自体は減少しているものの、5倍前後の最終応募倍率を維持しており、国公立の中高一貫校の人気が依然として高いことがわかります。

 

2.国公立の中高一貫校が人気なのはなぜ? ~国公立の中高一貫校が人気の理由~

では、国公立の中高一貫校の人気は、なぜ依然として高いままなのでしょうか。

その理由は大きく分けて 3つあると考えられます。

 

①私立と比べ費用が安く、通わせやすい。

国公立の中高一貫校は、中学校に相当する前期課程と、高等学校に相当する後期課程に分かれています。

中学校に当たる前期課程の授業料は無償となっている上、後期課程に当たる高等学校の授業料も、国の政策により無償となっています。

そのため、中高6年間の費用が安く抑えることができ、保護者からの高い人気を集めていると考えられます。

 

②高い大学合格実績が評価されている。

私立の中高一貫校と比べ費用面を抑えられる上、国公立や私立の難関大学、医歯薬系への高い合格実績が出ています。

このことから、コストパフォーマンスという言葉が定着している現在の子育て世代にとって、とても魅力的な合格実績に捉えられていると考えられます。

 

③部活動や学校行事が充実しており、豊かな学校生活を過ごせる。

多様性を重んじる、公的教育期間ならではの種類の多い部活動や、私立の中高一貫校と遜色ない学校行事数、そして研修旅行制度などがあります。

そのため、生徒1人1人がやりたいことを選択し、取り組める環境が整っていると言え、受験生からの人気を集めていると考えられます。

 

いずれの理由にしても、今後も、国公立の中高一貫校は根強い人気を維持していくことでしょう。

 

3.適性検査型入試とは? ~独自の入試方法~

国公立の中高一貫校は、私立学校で行われている、国語・算数・理科・社会といった科目の入試ではなく、適性検査型入試と呼ばれる独特な入試方法を取り入れています。

この適性検査型入試とは、4科目をはっきりとは分けず、複合したものを適性検査として出題しており、知識力だけではなく思考力も問う出題になっています。

そのため、選択肢問題の比重が少なく、記述問題の比重が大きくなっている他、途中経過も合わせて回答するのが特徴です。

 

4.特別な対策は必要? ~適性検査型入試の対策~

一般的な中学入試の試験問題とは違った形式であるとはいえ、問われるレベルは一般的な中学入試の試験問題のレベルと大きく変わるわけではありません。

そのため、国公立の中高一貫校のみを受験するという場合は別ですが、私立の中学校と併願で受験する場合には、私立の中学校の入試対策を基本とし、適性検査型入試の形にも慣れていくように、過去問や問題集を使って対策をする程度でも、十分対応が可能な試験になっています。

 

5.私立でも導入が進む? ~適性検査型入試・思考力型入試~

国公立の中高一貫校に人気が集まるとともに、私立学校の一部などでも、適性検査型入試を取り入れる学校が出てくるようになりました。

埼玉県の学校でも、適性検査型入試を取り入れる学校が出てきたため、1月に適性検査型入試を練習として受験できるようになりました。

そのため、1月校の受験パターンとして、4科型試験の学校と適性検査型入試の学校の2校を受験するというやり方が登場しています。

また、入学後の学習効果を期待して、思考力が優れた生徒に入学してほしいという希望を持っている学校を中心に、複数回ある試験の1回を適性検査型入試、もしくは思考力型入試に切り替える私立学校も出てくるようにもなりました。

このように、適性検査型入試や思考力型入試といった、結果だけでなく途中経過も踏まえて受験生の学力を判断する入試が、中学受験のトレンドとなりつつあります。

 

6.まとめ

国公立の中高一貫校に人気が出てきたことで、志望校を選ぶ上で、選択肢が大きく広がることとなりました。

一方で、それぞれの学校によって試験の方式が異なる事となり、試験自体が多様化してきています。

ただ、そのような中でも、思考力が問われる入試が増えていることは、私立中高や国公立中高一貫校問わず、中学入試全体の動向であると言えます。

そのため、知識力を付けていくことはもちろんのこと、考える力も同時に養っていくことが求められています。

中学校を選び際には、入試の形式に恐れることなく、本人がその学校に通いたいと思えるかどうかを基準にしていきたいですね。

 

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中嶋 雅樹(なかじま まさき)

WEBサイト WILLナビ塾 ライター&編集

首都圏を中心に展開する中学受験塾で7年以上勤務後、金融機関に4年勤務

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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