中学受験を考える上で、最も欠かせないのが、家庭内の意見を一致させておくことです。
しかし、保護者自身が中学受験を経験していない場合など、中学受験に対するイメージがないケースもあります。
中には、「わざわざ中学受験をさせなくても、高校受験をすることになるんだから・・・」と言われてしまうことも。
それがきっかけで夫婦喧嘩に発展してしまったり、片方の親だけが積極的になってすれ違いが起こったりということも、決して少なくはありません。
そこで今回は、中学受験を考える上での、家庭内での会話に役立つ情報を中心に解説していきます。
<目次>
1.中学受験と高校受験の違いを知ろう! ~地域によって大きく違う受験の実態~
span style="color:#e67e22">2.私立高校が強い? ~首都圏の高校受験事情~
1.中学受験と高校受験の違いを知ろう! ~地域によって大きく違う受験の実態~
お子さんに、中学受験と高校受験って何が違うの?と聞かれたら、保護者の皆さんはどのように説明しますか?
急に聞かれたとき、はっきりとした説明をできる自信のある保護者の方は、多くないのではないでしょうか。
そこで、まず、中学受験と高校受験の違いについて解説していきます。
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中学受験 |
高校受験 |
必要性 |
任意 |
任意(実質は必須) |
エリア |
大都市圏中心 |
全国 |
学校の評点 |
合否に関係なし |
合否に結果に影響 |
推薦入試 |
一部あり |
あり |
進学先 |
私立学校が中心 |
公立学校が中心 |
試験教科 |
4科中心(一部1科や2科あり) |
3科中心 |
中学受験と高校受験の大まかな違いをまとめたものが上の表です。
中学受験と高校受験、どちらの受験も決して簡単ではありません。
高校受験では、通っている中学校での成績(評点)が入試結果に影響することや、高校募集を停止する中高一貫校が増えていること、試験教科に英語が含まれることなど、中学生活の多くを、高校受験を念頭に置いて過ごさなくてはなりません。
一方、中学受験は、通っている小学校の成績が考慮されることは殆どありません。
通知表の提出を求める学校もありますが、多くの場合、学校への出席日数など、生活態度に問題がないかどうかを見ています。
小学校の成績が芳しくないからといって、いわゆる「足切り」に合うといったことはありません。
また、高校受験では、ほぼ全入の時代となっているため、全国では約100万人が、首都圏(1都3県)に限定しても約28万人受験生となりますが、中学受験では、過去最多を記録した2022年度入試でも、全国で51,000人程度が受験生となっています。
そのため、首都圏だけで見た場合でも、高校受験と比べて競争相手が少ない中学受験では、ハードルが低いと言えるでしょう。
ただ、中学受験では、人気の学校に受験者が集中しているため、選んだ志望校によっては、難易度が高くなる可能性があることも、把握しておく必要があります。
もし、中学受験がしやすい大都市圏(首都圏・中京圏・京阪神圏など)や、私立中学が多いエリア(札幌・盛岡・九州北部など)に住んでいて、中学受験ができる環境にあるのであれば、中学受験を検討してみるのも一つではないでしょうか。
2.私立高校が強い? ~首都圏の高校受験事情~
高校受験ができるエリアのうち、首都圏に関しては、他のエリアとは異なる学校事情になっています。
というのも、多くのエリアでは、その地域の公立高校が、その地域の高校受験における最難関校になっているからです。
しかし、首都圏、特に東京都においては、その地域の公立高校が最難関校とは限りません。
大学付属校を中心に、私立高校でも入試を行っており人気を集めており、最難関校に名を連ねる私立高校も少なくありません。
特に、首都圏のうち東京都については、公立高校よりも私立高校の入学者のほうが多くなっています。
高校募集を取りやめる学校が、首都圏の私立中高を中心に増えていますが、依然として私立高校への入学希望者が多いのも、東京都の高校入試の特徴であると言えます。
3.同じ学校に入るなら ~中学から?高校から?~
近年、首都圏の私立の中高一貫校では高校募集を停止し、6年間一貫教育を掲げる学校が非常に増えてきていますが、一方で、高校募集を継続している学校もまだ数多く残っています。
そのような状況の中で、多くの受験生や保護者の方が、中学と高校どちらから入ればいいのかを迷われるのではないでしょうか。
私立の中高一貫校の多くは、中学からの6年間で大学受験を乗り越えるために必要なカリキュラムを用意しています。
もちろん、高校から入った場合でも、3年間で大学受験を乗り越えるために必要なカリキュラムは用意されています。
しかし、中学から入った場合と、高校から入った場合とでは、高校入学時のカリキュラムのスタートラインが異なるため、高校から入った場合、入学後もハードな学習カリキュラムをこなして行かなくてはならなくなります。
そのため、中学から入る場合と比べ、高校から入るほうが学校生活における学業に割く労力の割合が多くなる傾向にあります。
また、入試の難易度の観点からみると、高校から入る場合は、中学校までの学習内容にまで試験範囲が増えることや、入試に英語が含まれること、中学校の内申点が合否結果に影響し、純粋なペーパーテストだけではなくなるといった、様々なハードルが増えてきます。
中学校の先生と馬が合わないと・・・ということを心配しながら中学校生活を送っていく必要もあるため、高校受験における受験生の負担は大きいといえます。
一方で、中学受験の場合は、小学校の成績が受験結果に影響をおよぼすことはありません。通知表の提出を求められることはありますが、見ているのは成績ではなく出席状況などであることが多く、小学校での成績が合否結果に影響することはまずありません。
そのため、純粋に学力勝負に持ち込むことができる分、高校受験と比べるとフェアな感じがありますが、試験の出題範囲が小学校の学習内容を超えることは珍しくなく、試験のハードルは上がる傾向となるため、独学で合格を勝ち取るのが難しいと言えます。
4.まとめ ~中学受験と高校受験、どちらを選べばいい?
公立高校の評判や実績が高く、ブランド力がある地域では、中学受験ではなく高校受験を選択することが多いかと思います。
多くのエリアでは、このような傾向にあリますが、一方で、私立の中高一貫校が多い首都圏を始めとする大都市圏では、高校募集を停止する動きが加速していることから、中学受験を希望する受験生が増えていると言えます。
また、中高一貫の女子校に関しては、中高一貫の共学校と比べ、6年間一貫教育への切り替えが広がっているため、首都圏以外でも、中学受験をしなければ入れないといった学校も出てきています。
そのため、できることなら中学受験で希望する学校へ挑戦したほうが、本人の希望に最も合った学校への進学が可能であると言えるでしょう。
中高6年間一貫教育へ舵を切る学校が増えている現在、その傾向はより顕著になっています。
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中嶋 雅樹(なかじま まさき)
WEBサイト WILLナビ塾 ライター&編集
首都圏を中心に展開する中学受験塾で7年以上勤務後、金融機関に4年勤務
2級ファイナンシャル・プランニング技能士