いよいよ受験学年となった6年生の子を持つ親にとって、これから塾の先生との個人面談のシーズンを迎えるに当たり、受験すべきか悩むのが埼玉県、千葉県の学校などが行っている1月入試。
受けた方がいいという意見もあれば、受けない方がいいという意見もあり、様々に意見が分かれているのが現状ですが、果たしてどちらを信じれば良いのでしょうか。
今回は、1月入試の特徴や1月校受験に対する考え方などを中心に、解説していきます。
<目次>
2.1月入試を行う学校の良さを知ろう! ~埼玉県と千葉県の学校について~
1.1月入試の実態を知ろう! ~埼玉県と千葉県の入試~
首都圏における中学入試には、大きく分けて1月に行われる1月入試と、2月に行われる2月入試の2つがあります。
1月に入試が行われる学校は、首都圏では埼玉県や千葉県、茨城県に所在地がある学校や、東京の試験会場を借りて入試を行っている地方の学校などがあります。
1月中の入試は、その学校を第1志望としている受験生はもちろんのこと、2月の東京都や神奈川県の入試を前に腕試しをしたり、試験会場の雰囲気になれたりなど、様々な目的で受験する受験生がいます。
学校によっては、複数回入試を行っているケースもあるので、複数の学校から合格を勝ち取ることができるのも魅力となっています。
2.1月入試を行う学校の良さを知ろう!
東京や神奈川にある有名中学校の受験を検討する上で、いわゆる滑り止めとして、1月入試を利用することも少なくありません。
中学受験をするからには、受験パターンを考える上で、「全て不合格となってしまい、地元の中学校に行きます」というシナリオはなんとしても避けたいと考える方は非常に多くなっています。
そのため、1月に入試が行われる埼玉県や千葉県の学校を、単に腕試しというだけではなく、保険的な意味合いを込めて受けるということも少なくありません。
保険的な意味合いでと聞くと、それであれば1月校は受験しなくても良いのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、中学受験の世界に「絶対」はありません。
どんなに高い偏差値を維持していたとしても、必ず合格できるとは限らないのです。
そのため、保険的な意味合いであっても、実際には東京都、神奈川県の学校を受験したが合格できず、1月に受験し合格を勝ち取った、埼玉県や千葉県の学校に進学をする、という選択をすることも決して少なくありません。
そこで、1月入試を行う学校を選ぶ場合には、その学校のみ合格という結果になった場合に備え、受験をした子ども本人と保護者の双方が、その学校に進学したいと思えることが非常に重要になります。
そのため、1月入試を受験する場合には、その受験する学校のことについて、きちんと下調べをしておく必要があると言えます。
①埼玉県の私立学校の特徴
埼玉県の私立中学校は、ほとんどが中高一貫校です。
そのため、入学してみたけれど学校の雰囲気と合わないなど、よほどのことがない限りは、その中学校に入学した場合、高等学校へは自動的に進学となります。
そのため、埼玉県の私立中高一貫校の多くは、大学受験を見据えたカリキュラムを用意しており、各大学への合格実績がその中学校の人気に直結しているという側面があります。
多くの私立中学校が県南西部に集中しており、池袋を拠点に放射状に広がっている私鉄・JRの鉄道沿線に校舎を構えていることが多いです。
また、理科教育や英語教育、アクティブラーニングにも力を入れているなど、教育面の充実がはかられています。
その他、自習室が用意されていて自主学習を行える環境も整備されているなど、学習面が強化されている学校が多いのも特徴です。
入試は、埼玉県の中学入試解禁日となっている1月10日を皮切りに、1月前半に入試日を設定している学校が多く、1月半ばまでには入試結果が出ていることが多くなっています。
②千葉県の私立学校の特徴
千葉県の私立学校は、渋谷教育学園幕張や市川中学など最難関進学校や東邦大東邦中や芝浦工大柏中のように、理系に強い学校が多くなっています。
東京の東側という立地から、埼玉県の私立中学校と比べ、東京西部・多摩地区からの生徒がアクセスしにくいため、山手線の東側や千葉県に住んでいる志願者が多いと言えます。
そのため、埼玉県の中学入試のように、保険的な意味合いでの受験というよりは、その学校に行きたいから受験をする、といったケースも多く、独特の盛り上がりが見られます。
入試は、1月下旬にほぼ集中しており、複数回の受験日を設定している学校もありますが、2月までの日数が短いことから、行われても2回程度となっていることが多く、なるべく1回の試験で合格を勝ち取りたいところであると言えます。
③その他のエリアの私立学校の特徴
茨城県の私立中学校は、千葉県との境目に近いところにあることもあり、千葉県の私立中学校と同じような特徴を持っており、入試においても千葉入試と同じに扱われていることが多くなっています。
また、東京の試験会場を借りて入試を行っている地方の学校は、寮が用意されており、首都圏からの受験生が進学できるよう対応されています。
中学から寮生活を送らせることをためらう保護者の方が多いこともあり、保険的な意味合いでの受験というよりは腕試しとしての受験をする受験生が多いといえるでしょう。
3.まとめ ~結局、1月入試は受けるべき?~
受験する子ども本人の性格面や、メンタルの強さにより左右されますが、1月になると大手塾の模擬試験がなくなり、現状の学力をはかる手段がなくなってしまうので、受験をした方がいいと言えます。
各御家庭の方針や志望校によって、1月入試を受験する理由は様々になるかと思いますが、1月入試を回避するメリットは殆どなく、試験会場や試験そのものの雰囲気を感じておくためにも受験をしておく方が良いでしょう。
しかし、偏差値通りに合格が出るとは限らないのが受験です。
その学校が第1志望でない限りは、現在の偏差値帯に属している学校を選ぶと、逆効果になる場合もあります。
そのため、偏差値で学校を見るのではなく、教育方針なども見ながら、いざという時にはその学校へ進学することも考え、慎重な受験校選びをすることで、中学受験を成功できたと言える結果になるでしょう。
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中嶋 雅樹(なかじま まさき)
WEBサイト WILLナビ塾 ライター&編集
首都圏を中心に展開する中学受験塾で7年以上勤務後、金融機関に4年勤務
2級ファイナンシャル・プランニング技能士