学校ごとの特徴や雰囲気を知り、上手な志望校選びにつなげる

2021.08.03

中学校選び

校風や教育内容、大学進学実績もチェック

学校ごとの特徴や雰囲気を知り、上手な志望校選びにつなげる

 

 

特色が際立つ私立校か、

リーズナブルな国立・公立校か

 

中学受験をすると決めたら、次に「どんな学校を受験するのか」を考えましょう。

選抜試験を行う学校のなかで最も多いのは私立校です。

創立の目的や教育理念、校風や独自のカリキュラムなど、学校ごとの個性がはっきりしています。

そのため、お子さん本人の「こんな学校に行きたい」という意思と、保護者の方の「こんな環境で学ばせたい」との希望が明確であるほど、

「自分に合う学校」を見つけやすくなります。

一方で、経済的な負担が軽い国立校や公立の中高一貫校も、一定の人気を保っています。

伝統校か、新興校か

男子校・女子校それとも共学校か

 

●伝統校と新興校

私立校のなかには、長い歴史を持ち、創立からの教育方針を守る「伝統校」が存在します。

創立100年以上の学校も数多くあり、近代日本の礎となる人材を輩出してきました。

伝統校の特徴は、創立以来守り続けてきた教育方針を貫いていること。

新しい時代を見据えた取り組みも積極的に導入し、新旧をうまく融合させている学校も少なくありません。

各界で活躍している卒業生も多く、校風が分かりやすいのも特徴です。

これに対して、比較的歴史の浅い学校、もしくは大規模な教育改革によってまったく新しい学校として生まれ変わった学校を「新興校」といいます。

近年は、共学校の人気が高いことから、男子校や女子校から共学校に移行し、それを機に校名を変え、教育理念も新たにする学校も少なくありません。

●男子校・女子校

言語能力や空間認知能力、感情処理の仕方や行動、成長のスピードは男女間で異なるといわれています。

男女別学であれば、男子と女子、それぞれに特化したカリキュラムを提供することが可能です。

加えて、異性の目を意識することなく、伸び伸びと学校行事や部活動に取り組むことできます。

また、共学校では、力仕事を男子が担い、それを女子が助けるという「役割分担」が自然に行なわれ、

それが当たり前という意識がかまれがちですが、別学校の場合、異性がいないため、

性に関係なくリーダーシップ、リーダーを支えるフォロワーシップを身につけることができます。

なお、数は少ないものの、国学院大学久我山中学高等学校や桐光学園中学校・高等学校のように、

授業は男女別で行い、学校行事や課外活動などは一緒に行う「男女別学」を実践する学校もあります。

 

一般的に男子校・女子校の多くは伝統校で、男女それぞれの特性を伸ばす独自の教育を打ち出しています。

たとえば男子校には、柔道や剣道といった武道に力を入れている学校も多く、

古式泳法を習得する「遠泳」や、数十キロの道のりを歩く「強歩」、本格的な「山登り」など心身を鍛える行事を恒例とする学校もあります。

東大合格者数全国最多で知られる開成中学校・高等学校も、応援合戦で盛り上がる筑波大学附属高等学校とのボートレースや、

騎馬戦や棒倒しといった肉弾戦が繰り広げられる運動会など、勇壮な伝統行事が多く受け継がれています。

 

一方、女子校は、風紀や礼節など道徳的な教育に力を入れている学校が多く、礼法や茶道・華道といった日本文化を学ぶ授業が目立ちます。

たとえば、女子最難関校として知られる桜蔭中学校・高等学校は、礼法の授業が必修。

同じく、首都圏有数の進学校として知られる豊島岡女子学園中学校・高等学校は、小笠原礼法とマナーの講義のほか、

集中力を養い、努力を積み重ねることや基礎・基本の大切さを知るために毎朝5分の「運針」を行うことでも知られています。

●共学校

別学校に比べると新興校が多い共学校は、男女の相互理解を深める機会が多く、多様性が求められる実社会に即す教育が提供できます。

小学校の多くは男女共学なので、環境面での大きなギャップを感じることが少ないこともメリット。

学習面でも課外活動でも、互いに協力することが不可欠なので、異性に対する苦手意識は薄く、社会に出てからの人づき合いもスムーズに運ぶと期待できます。

その半面、男女別学のような、性別に特化したカリキュラムを構成することは難しく、学習効果を高める点ではやや不利といえそうです。

とはいえ共学校のなかにも、進学指導に注力して、大学進学実績を飛躍的に伸ばしている渋谷教育学園幕張中学校・高等学校や同学園渋谷中学校・高等学校、広尾学園中学校・高等学校のような学校もあります。

●宗教を教育の基盤にする学校

私立校のなかには、キリスト教や仏教といった、宗教を教育の基盤としている学校もたくさんあります。

このような学校では、宗教の精神を学ぶ授業のほか、礼拝や座禅などを実施している例もありますが、あくまでも人間教育の一貫として取り入れているだけで、信仰を強制する学校はありません。

とはいえ、学校によっては、教会へ通っての礼拝やボランティア活動などを推奨することもあるので、宗教とのかかわりをどの程度求められるのか、学校説明会などで確認するとよいでしょう。

また、キリスト教系の学校には語学教育に力を発展させているところも多く、なかにはフランス語やドイツ語など第二外国語の授業を設ける学校もあります。

●進学校か、大学の付属校・系属校か

大学を併設してせず、生徒のほとんどが大学受験をする学校が進学校です。

受験指導に力を入れ、高い進学実績を残している学校は当然人気が高くなります。

海外を含め、制限を設けずに卒業後の進路を決めたい、

もしくは、中高での学びを経て進路を決めさせたいと思われるご家庭には、進学校が向いているでしょう。

大学受験を見据えたカリキュラムについていくには苦労を伴うこともありますが、自由に進路が選択できるメリットもあります。

 

対して、併設の大学への内部進学制度があるのが付属校(半付属・系属校)です。

内部試験や在学中の成績規定などのハードルは設けられていますが、外部受験生よりは有利な条件で進学できるため、

大学受験にとらわれることなく伸び伸びと中高の6年間を過ごすことが可能。

部活動や学校行事に打ち込むことはもちろん、海外留学や探究活動などに時間を費やすこともできるでしょう。

また、高校のうちから大学の講義を受講できたり、大学の施設を利用できたりと、さまざまなメリットがあります。

 

付属校を選ぶ場合、何より重視するのは、併設大学に「本人の希望する学部・学科があるか」という点です。

仮に目指す学部があったとしても、希望がかなうかどうかは在学中の努力次第ということを忘れずに。

人気のある学部、特に医学部は激戦となります。

途中で進路が変わり、併設大学への進学をやめることもあるかもしれません。

付属校のなかには、他大学への進学にも力を入れている「半付属校」もあります。

たとえば、早稲田中学校・高等学校は、早稲田大学の系属校でありながら、東大や医学部にも多くの合格者を輩出する進学校としての側面を持つことで知られています。

付属校における他大学受験の条件は、各校で異なり、学内推薦の権利を維持したまま受験が許される学校もあれば、権利を放棄しなくていけない学校もあります。

これらの条件は、事前にしっかり確認しておく必要があります。

そして、大学と提携関係を結んでいるのが「系属校」です。

卒業生のほとんどが早稲田大学に進学する早稲田実業学校のように、「付属校」的な実状の学校もありますが、

一般的には別の学校法人が運営しているため、提携先する大学に推薦されて進学できる割合は多く5割程度。

こちらも要確認といえます。

 

●国立校・公立校

経済的な負担の軽さから安定した人気を保っているのが、国立校や公立の中高一貫校です。

筑波大学附属中学校・高等学校、お茶の水女子大学附属中学校・高等学校のように、国立校の多くは、国立大学の教育系学部の附属校として設置されていて、

教育的な実験の場として、最先端の教育やユニークな取り組みが導入されています。

学問的にも高いレベルの授業が行われているため、最難関大学への進学実績が高い学校も多くあります。

ただし高校進学の要件については学校によって異なるので注意が必要です。

内部試験や在学中の成績から、一定数の生徒が高校に進学できない学校も多くあります。

千葉大学や埼玉大学の教育学部の附属校のように併設の高校がない学校の場合は、3年後には高校受験をすることが前提となります。

また、筑波大学附属中学校・高等学校、お茶の水女子大学附属中学校・高等学校の場合も、

高校から併設の筑波大学やお茶の水女子大学への推薦枠はわずかで、多くは他大学に一般入試で進学します。

 

一方、都立や県立、市立・区立といった公立の中高一貫校も人気があります。

私立の中高一貫校と同じように、6年間を見通したカリキュラムのもと授業の効率化を図り、大学進学実績を伸ばしている学校も多く存在します。

教育内容は教育委員会などの意向によって決められるため、私立校に比べると、学校現場の采配で独自の取り組みを実践しにくい一面はありますが、

なかには、東京都の英語教育推進校に指定されている桜修館中等教育学校や南多摩中等教育学校、

文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールに指定されている小石川中等教育学校など、

特定分野に力を入れながら、難関大学への高い合格率を挙げている学校もあります。

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