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中高一貫教育の「今」を知る注目のキーワード

2021.01.30 中学校選び

 情報化、グローバル化の進展により、昨今の教育は大きく様変わりし、中・高の枠を超えた多様な取り組みが続々登場している。新しい流れをイメージしやすいように、最近教育業界で注目を集める5つのキーワードを取り上げる。

 


ICT教育


 2019年12月に文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」は、児童生徒1人1台のコンピューターを標準化し、高速大容量の通信ネットワーク整備を目指している。一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む学びを、全国の学校現場で実現させるというものだ。
 20年4月から3年間かけて、全国の小・中学校でICT(情報通信技術)化を実現するという当初の計画は、昨年春の新型コロナウイルス感染症拡大による臨時休校を受けて、一気に加速した。ICTやオンライン学習は、子どもたちの学びの保障に大いに役立つと多くの人が実感したのではないだろうか。
 私立の中高一貫校のなかには、早い段階からICT化を進めている学校が少なくない。例えば三田国際学園中学校・高等学校は、15年に戸板中学校・高等学校から現校名に改称・共学化したのを機にICTを活用した教育改革を推進。生徒全員がタブレット端末を持ち、コミュニケーションを拡張させたり、自分の考えや思考を飛躍させたり、プログラミングを通じて創造力を伸ばしたりしている。基礎学力の定着のために、朝学習では人工知能(AI)を活用した確認テストも実施しているという。
 また鷗友学園女子中学高等学校では、高校生を対象に、自分の使い慣れたタブレット端末やスマートフォン、ノートパソコンなどを学校に持ち込んで使用する「BYOD(ブリング・ユア・オウン・デバイス)」を18年に導入。授業だけでなく、課外活動や委員会活動などさまざまな場面で活用しており、生徒たちはまるで文房具のようにデバイスを自在に使いこなしている。
 ICT環境が整った学校では休校期間中の対応も速やかで、日々の学びが停滞することはなかったようだ。今後の教育革新を進める上で、ICT化が重要なカギであることは間違いないだろう。


アクティブラーニング


 アクティブ・ラーニングとは「能動的・活動的な学習」のこと。教員が生徒に対して一方的に知識伝達をする授業ではなく、体験学習や課題研究、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークなど、生徒の能動的な学習を取り入れた教育活動の総称だ。大学の教育改革が進むなかで取り入れられるようになり、現在では小・中・高校など多くの教育機関に広がっている。
 アクティブ・ラーニングが注目されている背景には、グローバル化や情報化といった社会環境の変化がある。これからの子どもたちには、知識を増やすだけでなく、自ら学ぶ力や時代の変化に対応できる力が求められる。さらに、明確な答えのない課題に向き合い、他者と協働しながら解決に導く力も必要とされている。能動的に学習することで、これらの力を養うわけだ。
 首都圏にはアクティブ・ラーニングに積極的に取り組んでいる学校が数多くある。栄東中学・高等学校では、これを教育の根幹と位置づけている。教科指導、校外学習、学校行事、キャリア教育のすべてで生徒の主体的取り組みを重視。大学受験だけでなく、その先を見据えた教育を展開している。
 田園調布学園中等部・高等部では、2014年に独自の「協同探求型授業」を導入。「数学× 理科」などの教科横断型授業や理科実験の分析考察などで効果を上げる。生徒たちは学んだ知識を活用しながら、調べる、話し合う、発表するという活動を通じて、思考力・表現力・主体性などを培おうとしている。


グローバル教育


 現代の教育で重要性を増すグローバル教育。外国語の学習だけではなく、国・人種・文化などが異なる人々と交流する過程で、世界が抱える問題について学び、その解決方法を「国際社会の一員」として考えることを促すものだ。国境を越えた交流が当たり前となった現代では、外国語でコミュニケーションを取りながら、さまざまな背景を持つ人間と、相互理解を深められる人材の育成が急務となっている。
 各学校では、短期・長期留学をはじめ、海外提携校の学生を招待してイベントを開いたり、海外で活躍する著名人の講演会を行ったりするなど、それぞれの持ち味を生かした取り組みを行っている。海外大学への進学を目標に掲げる学校も多く、「海外で学ぶ」という選択肢が当たり前のものになりつつある。
 例えば渋谷教育学園渋谷中学高等学校は、多くの帰国生が在籍していることでも知られている。休み時間には、英語で談笑する声が聞こえてくるなど、非常に国際色豊かな学校だ。一般入試で入学した生徒たちは、帰国生との交流を通して、異なる言語や文化に触れ、自らの知見を深められる。日々の学校生活のなかで、国際理解を自然に育めるのは、大きなアドバンテージといえるだろう。
 広尾学園中学校・高等学校も、早くからグローバル教育に力を入れてきた。インターナショナルコースではほぼすべての授業を英語で行い、国内外の一流大学への進学を目指す。高度な専門性を持った外国人教員も多く在籍しており、日本にいながら、本格的なグローバル教育を受けられる。2020年には、78人の生徒が海外大学に合格し、同校のグローバル教育の質の高さを証明している。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、海外への渡航が制限され、留学制度の活用が難しくなっている。そんな状況下でも、各校は「日本にいながら取り組めるグローバル教育」の形を模索し続けている。


SDGs


 ここ数年、「SDGs」という単語をよく見るようになった。持続可能な開発目標(Sustainable development Goals)の略称で「地球環境を守りながら、すべての人が平和で豊かに暮らせる世界を2030年までに実現する」のが目標だ。15年9月の国連総会で採択され、格差の解消や気候変動への対策といった17の目標と、その目標内に設定された全169のターゲットで構成されている。現在、先進国を中心に、これらの目標を達成するための取り組みが行われている。
 例えば日本でも、環境分野では「50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにし、グリーン社会を実現する」という目標を掲げている。しかし日本の20年度のSDGs達成度は、166の国と地域中17位。上位10カ国は、欧州の国が占めている。政府・企業・国民が一丸となって、これまで以上に鋭意推進していくことが求められている。
 SDGsへの取り組みは、中学・高校でも行われている。例えば文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール」に指定されている豊島岡女子学園中学校・高等学校では、中3の探究学習「SDGsについて考えよう」で、ジェンダー平等を実現する方法や、人や国の不平等をなくす方法などについてグループで考察し、その成果を発表し合った。世界のさまざまな課題に対して問題意識を持つ、非常に良いきっかけとなったという。
 富士見中学校高等学校でも、高1の探究活動の授業でSDGsを取り上げている。生徒たちは17の目標のなかから興味のあるものを選択し、その目標に関連した国内外の問題についてグループで話し合う。解決に向けたアイデアを出す過程で培われるのは、明確な答えが出せない問題に真摯に向き合う姿勢だ。
 環境破壊や経済格差など、わたしたちの生活にも密接に関わる数々の問題。「地球市民」として広い視野を持つことが、解決への糸口となるだろう。


高大連携


 高校と大学が連携し、さまざまな学習指導を行う高大連携は、高い意欲を持つ人材育成の観点から注目を集めている。大学付属校をはじめとした学校では、大学教員による専門性の高い授業の実施や、大学設備の一部開放などが行われている。特定の分野に関する高度な学びに触れることで、将来の夢を見いだす生徒も少なくない。
 文科省も高大連携のさらなる促進に向け、さまざまな提案や留意点などをまとめている。大学からの一方的な支援ではなく、高校と大学、双方にメリットのある具体的な連携方法を確立するためにも、まず教員同士が相互理解を深め、交流・連携ネットワークを構築することが重要だとしている。
 高大連携で成果を上げている学校の一つに東京農業大学第一高等学校中等部がある。同校では、隣接した東京農業大学の研究施設を利用し、大学教員の指導の下、農作物の観察や分析などを行う。また、大学レベルの内容を含む80回以上ものバリエーションに富んだ実験を行い、生徒の知的好奇心を大いに刺激している。
 明治大学付属明治高等学校・中学校も、高大連携を重要視しており、高校生を対象とした「高大連携プログラム」を展開している。高2では、進路指導の一環として「高大連携講座」を実施。明大の教員が毎週2時間、年間を通して授業を行う。明大の10学部すべての学部紹介と、各学部の専門的な内容にも踏み込んだ講座となっており、生徒は幅広い知識を獲得できる。また、この講座が進路選択のきっかけとなる生徒も多く、高い意欲を持って大学へ進学する動機づけに一役買っている。
 付属校のみならず、各進学校でも取り入れられ始めている高大連携。これからの発展がますます楽しみな分野だ。

■日本経済新聞 朝刊 第二部「広告特集 中学受験特集」2021年1月29日掲載

 

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